歯医者に行くと、歯科医や歯科衛生士から歯ブラシ指導を受けると思います。
歯ブラシができていないからもう1回きてください!
えー、めんどくさいななんて感じられるかもしれません。
歯科医院が儲かるように患者を呼んでいるなどと揶揄されてしまいます。
保険診療で歯ブラシ指導をする場合、月1回800円給付と決まっています。
歯科衛生士さんが歯ブラシ指導を一生懸命やったとして、衛生士さんの時給、場所代や光熱費などを考えたら完全なる赤字です。
高い歯ブラシを売りつけて儲かっている!…わけでもなく、1本で利益は10〜20円とかその程度です。
ちなみに、当院では指導用歯ブラシは無料で差し上げています。
では、嫌がられるかもしれない歯ブラシの指導を、なぜ一生懸命するのでしょうか?

日本の保険診療における歯周病治療の給付は、世界で見ても非常に稀なくらい充実しています。
しかし、歯周病治療を保険診療で行う場合、給付される費用には限界があります。
ある程度の治療が進んだところで、給付が終わってしまえば、強制的に終わりにするか、SPTというメインテナンスへ以降するか、はたまたボランティアで治療するか?の選択となります。(ちなみに、保険診療にメインテナンスという概念はありません。疾病が治癒すれば完了です。)
そこで問題なのが、軽度歯周病も重度歯周病も、タバコを吸う方も吸わない方も、よく歯磨きしてくれる方もまったくしない方も、保険給付の内容はまったく同じということです。
つまり、保険診療で歯周病治療をするということは、軽度歯周病でしっかり歯ブラシをしてタバコも吸わず健康管理している方と、重度歯周病で歯ブラシはしないしタバコも好きなだけ吸って健康管理をしない方を同じ治療費で治してくださいというお題を突きつけられているのです。
これは国民のとって平等でなければならないという保険診療の性質によるものだと思います。

例えるなら、ものすごくよく勉強する子とまったく勉強しない子に、おなじ授業時間(期間)で同じ費用で全員をしっかり卒業試験に合格させてくださいねという感じでしょうか。
できることは、卒業試験レベルを低く設定するか、勉強をすることで自分が得られる価値を伝えつつ自主性を促すか(つまり自習、自主的に家庭学習の時間を増やす)のどちらかになると思います。
前者、卒業試験レベルを低く設定するは一見、問題なくクリアできます。でも本当の問題は解決できないままです。
後者、自主性を促すことで自分を変えることで、レベルアップを図り、勉強しなかった子もしっかりと卒業試験に合格できるようにすることが、できる教師の条件ではないでしょうか。
ですから、赤字でも患者さんに嫌われても、ブラッシング指導を一生懸命行い、限られた条件でなんとかゴールを目指す、歯周病治療の専門性はそのようなところにあります。

最後に、小さなお子さまの仕上げ磨き、小さいお子さまの虫歯予防、10代、成人の虫歯予防、歯周病予防や治療、メインテナンスの磨き方、インプラントの磨き方、これらはすべてまったく異なります。
歯ブラシのわからないところや歯周病で不安な方は当院へご相談くださいませ。

3
歯周病治療の術前、術後。
しっかりと骨が安定しているのがわかります。
歯周病治療は専門的に治療ができる医院での受診をオススメします。